東アジア文化都市2019豊島マンガ・アニメ部門スペシャル事業

マンガ・アニメ3.0

IMART2019年11月15日(金)
全セッションレポート(前編)IMART(第1日目・前編)

マンガ・アニメの「聖地」をどう考え、どう生み出すか

登壇者
岩川浩之(大日本印刷株式会社 ABセンター マーケティング本部 アーカイブ事業推進ユニット)
柿崎俊道(聖地巡礼プロデューサー。株式会社聖地会議 代表取締役)
菊池健(元京都国際マンガアニメフェア事務局、元京都版トキワ荘事業)
司会
山内康裕(マンガナイト/レインボーバード合同会社代表)

レポートセッション概要

柿崎俊道氏

 

 セッション「マンガ・アニメの「聖地」をどう考え、どう生み出すか」では、聖地巡礼という言葉がマンガ・アニメにも定着した中、聖地をどのように考え、生み出し、育てていくのかをめぐり、地域連携などについて事例を紹介しつつ、ディスカッションを行った。
 個別のプレゼンテーションでは、柿崎氏は聖地が持つ多様な側面を解説。一般的に知られる観光としての役割だけでなく、通常は制作終了後に破棄されてしまう資料を保管する場所としても使われているなど複数の事例を、現地の写真を交えながら発表した。
 岩川氏はマンガ・アニメの美術館などと連携して文化発信に協力している大日本印刷の取り組みを紹介。2012年に初開催した総合見本市「京都国際マンガ・アニメフェア」(通称・京まふ)がなぜ現在まで続く成功を収めたのか、その理由を語った。

左から岩川浩之氏、菊池健氏

 

 ディスカッション・質疑応答では聖地化に取り組む自治体についても言及が。柿崎氏は自治体の職員にマンガ・アニメのファンがいると、煩雑な説明を省くことができるため企画がスムーズに進められるメリットがあるとコメント。その一方で、職員は数年で異動してしまうため、担当者がいなくなると途端に頓挫するというデメリットも存在すると、問題点を挙げた。
 菊池氏は「京まふ」の事例を挙げて、今ではオタクの職員がいなくても、企画をうまく回せる仕組みを作ったことで成功していることを明かす。自治体は数年ではなく十年スパンで、担当者が変わっても企画が回せるシステム作りがカギになると伝えた。


アニメ配信のこれから
無料配信の新たな可能性

登壇者
高山晃(株式会社ファンワークス代表取締役社長)
萩原穣(株式会社アナライズログFounder & COO)
司会
数土直志(アニメーション・ビジネス・ジャーナル編集長)

レポートセッション概要

左から萩原穣氏、高山晃氏、数土直志氏

 

 セッション「アニメ配信のこれから 無料配信の新たな可能性」では、新たなアニメーション配信プラットフォームとして注目される無料動画配信サービスを中心的な事例として、アニメ配信ビジネスの展望をめぐりディスカッションが交わされた。
 高山氏は、ショートアニメと配信ビジネスの親和性の高さについて、自社作品を事例に具体的なデータを交えながら説明。また中国においてショート動画市場が拡大していることが紹介され、中国市場に向けたショートアニメ制作の可能性が示された。
 萩原氏からは、世界的に支持されるインフルエンサーを事例に、YouTubeを活用した動画配信ビジネスについての展望が。従来のマスメディアとの差異を説明したうえで、YouTubeではグローバルニッチに向けたターゲティングが重要になると指摘。広告収入によるビジネスモデルは今後、斜陽傾向になると分析するとともに、関連商品で利益を得るコンテツビジネスが成功のカギになると語った。

 

【第1日目レポート後編へつづく】

 

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