東アジア文化都市2019豊島マンガ・アニメ部門スペシャル事業

マンガ・アニメ3.0

未来への想像力を科学と感情が刺激する――
「マンガミライハッカソン」プレトーク
「マンガのシンギュラリティ」レポートいわもとたかこ

 「ハッカソン」という言葉をご存知だろうか。元はIT業界で生まれた“hack”と“marathon”を組み合わせた造語で、多人数の共同作業で一定期間集中的に、Webサービスやソフトウェア開発を行うイベントである。
 その「ハッカソン」のスキームを、個人制作が主体であるマンガの創作の場にも応用する試みが、2019年10月から11月にかけての3回にわたり開催される「マンガミライハッカソン」だ。
 2019年9月7日、そのプレトーク「マンガのシンギュラリティ」が、としまセンタースクエア(豊島区庁舎1F)で開催された。「東アジア文化都市2019豊島」マンガ・アニメ部門事業ディレクターの山内康裕をモデレーターに、「マンガミライハッカソン」の目的意識の紹介から、分野をまたいだ多彩なゲストを招いてのディスカッションまで、「マンガ×科学」の可能性が見据えられたイベントの模様をレポートする。

(編集部)

マンガミライハッカソンとは

 歴史、日常、スポーツ、恋愛、仕事、ファンタジーと幅広い世界を描いてきたマンガ。もちろんSFや科学も扱うテーマのひとつで、「マンガ×科学」の組み合わせは『火の鳥』『ドラえもん』シリーズや『地球へ…』をはじめとする多くの名作を生み出してきた。特にSFマンガは多くの受け手の想像力を刺激し、今の私たちが「未来都市」「科学で実現する社会」を想像するときの基礎となっている部分もある。

 

 「国際マンガ・アニメ祭 Reiwa Toshima(IMART)」のプレイベントとして開催する「マンガミライハッカソン」は、そんな「マンガ×科学」の描く世界をアップデートし、次の未来の姿を考えるきっかけを作ろうという試みだ。

 

 2019年9月7日にとしまセンタースクエア(豊島区庁舎1F)で行われたそのプレトークイベントでは、「東アジア文化都市2019豊島」マンガ・アニメ部門事業ディレクター、山内康裕氏がモデレーターをつとめ、武蔵大学の庄司昌彦教授、武蔵野大学データサイエンス学部の中西崇文准教授、自治医科大学医学部の高瀬堅吉教授というHITE-Mediaのメンバーが登壇。マンガ家、編集者、研究者らが加わり「HITE(Human Information Technology Ecosystem)の問題意識から面白い作品は生まれるのか」「世界に届けられる作品とはなにか」「SF的想像力と社会の発展の関係」「SF的想像力と社会の発展の関係」という問いの答えを探った。

 

 

まだ見たことのない作品へ向けたコラボ

 「ハッカソン」とはもともと、ソフトウェアやWebサービス開発で、プログラマーやデザイナー、プロジェクトマネージャーらが集まり集中的に作業することで新しいプロダクトやサービスを生み出すイベントのこと。今回はマンガ制作にこの手法を応用し、編集者やクリエイターと様々な科学分野の研究者が組み、限られた期間で、読者に新しい人間や都市の未来像を想起させる短編作品の制作を目指す。

 

 今回、クリエイターと科学の橋渡しをするのは、国立研究開発法人科学技術振興機構社会技術研究開発センターの研究プロジェクトから生まれた「HITE-Media」。生活の中に情報技術が浸透することで人々の社会や暮らしがどう変化するのか、またどのような問題が起きうるのかを踏まえたうえで、人間を中心とした社会や制度、技術のあるべきすがたについて情報発信している。

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